殺したんじゃねぇもの

青山正さんを救援する関西市民の会

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更新日 2016-07-31 | 作成日 2016-07-31

「証拠ねつ造」野田事件・青山正さんにあたりまえの無罪を! 

1993年4月4日発行パンフレットより

 
 
1993年に発行したパンフレット「証拠ねつ造」の原稿を掲載します。 
文中の表現については当時のままとしています。 

 

おわりにかえて〜出所後の青山さんの生活を考える中で。

  
 この野田事件・青山正さんを救援する運動も、ようやく一九九二年四月にカバンのすりかえが明らかになったことをきっかけに、明るい見通しが出てきた。しかし現状は決して楽観は許されない。私たちの運動の最大の目的は、青山正さんを無実で奪還することであるが、裁判の結果はどうであれ、青山さんが拘置所を出てくる日は近づいている。面会を積み重ねていく中で、地元野田で暮らしたいという青山さんの想いも伝わってくる。ここでは青山さんの今後の生活について考えていきたい。
 
 青山さんの出所を考えたとき,まず私たちが認識しておかなければいけないことがある。地元では、警察やマスコミのまちがった情報をもとにこの事件を理解している人も多く、青山さんへの偏見や差別意識がまだ根強く残っているのである。また、青山さんの身内はすでに地元を離れ、青山さんの土地だけが残っているという現状である。しかも地元には、事件で被害者となった女の子の家族も住んでいる。こうした中で、青山さんを地元で迎え入れられることについては大変な困難があるのである。
 
 事件からこの約一四年、交通機関の発達で東京への通勤が楽になったせいもあって野田市の人口もかなり増えた。そのためか、野田事件を知らない人の数も多くなっている。そういった、事件を知らない人に、正しく野田事件を知ってもらうということも必要となっている。そこで、一九九〇年の一一月より地元野田で、野田事件について考えていこうという学習会が開始されている。学習会の中では、野田事件の発生から裁判の状況、警察の見込み捜査などを中心に取り上げている。一九九一年に入ると、現地調査や地元集会なども行えるようになってきた。この学習会と関東の救援運動とが大きく連帯し、一九九二年に入ると情宣活動などを行うようになった。その成果が少しずつ現れてきた。
 一九九二年九月には地元野田市での初めての街頭情宣活動を行い、その何日か後にいくつかの問い合わせがきた。問い合わせの内容には、野田事件についてもっと知りたいという声の他に、こんなひどいことがあるのかなどという怒りの声もあった。このようにして、地元の世論を大きな
ものにしていきたいとかんがえている。
 
 次に、地元で青山さんを迎え入れる上でのいくつかの問題点を考えていきたい。一つは、青山さんの生活、住む場所の問題である。青山さんは長い間獄中に隔離され、その間に物価も上がり、交通機関や生活スタイルその他の面も大きく変化を見せているため、拘置所の外の生活環境に慣れるのは大変である。また、残念なことに、野田では、障害者が自立するための運動が、あまりさかんに行われていない。そのためか、この問題は私たち救援運動の中で大きな課題となっていながらも、なかなか解決の糸口が見つからない問題の一つとなっている。
 
 二つ目に、青山さんの働く場の問題である。青山さんとの面会で話していくと、青山さんは「働きたい」という希望を持っていることがわかる。いったい青山さんがどういった内容を希望しているのかということにもよるが、できるだけ青山さんが希望する仕事を青山さんと一緒に探していかなければならない。そのために地元の学習会のメンバーによるグループホームや作業所への働きかけも進行中である。
 
 青山正さんの救援運動は、青山さんが獄中から、出てきたところで終わりなのではない。障害者と接することの少ない人にとってみれば、障害者は遠い存在でしかないのである。障害者と関わり、障害者が身近な存在であったならば、この事件が起きたとき、「青山さんならばやりかねない」「こうした犯行は『変質者』の仕業に違いない」などといった偏見に満ちた発想が起きなかったのかもしれない。しかし残念ながら、そうした差別的発想が当時も今もどこかにあるということは否定できない。しかも日常的に行われているのである。例えば何か問題が起きたときにすぐ障害者が疑われたり、企業などで何か失敗があったときに、すぐ障害者社員に対し責任を求めたりすることもその例の一つである。こうした社会ではなく、障害者も健常者も共に生きていける社会を作っていくことが大切である。そうした社会が青山さんを迎える上で必要な社会なのである。もちろん簡単に作れるものではないが、私たちは青山さんとともに,その社会に向かって一歩ずつ歩みを進めたい。
 
 この冊子を手にされた皆さんが,一人でも多くその歩みを共にしていただけることを願っている。
 

青山正さん救援会